ESR 電子スピン共鳴

電子スピン共鳴(ESR)法は、物質中の着目するラジカルや不対電子周囲の局所環境についてミクロな観点から研究する手法である。磁場を印加された電子スピンはZeeman分裂を起こし、エネルギー準位が分裂する。この分裂準位に対応したエネルギーをもつ電磁波を入射したときに共鳴吸収が起こり、分裂準位間でスピン状態の遷移が起きる。これをESRと呼んでいる。ESR測定により、電子が占有する軌道準位を反映するg値と呼ばれるパラメータや電子と核との相互作用で起こる超微細構造(hyperfine structure)に関する情報等が得られる。

スピン1/2における電子スピン共鳴の概略図。

 

 

炭酸ガスレーザー

 CO2レーザーは気体を励起の媒質としている。CO2N2Heが混合された気体を密閉管に注入し、管の両端についた電極に高電圧をかけてやることで放電励起による誘導放射を起こす。また放電させるためには一定の圧力が必要なため、真空ポンプで真空引きすることによって圧力を保っている。反射鏡と角度変化機構のある回折格子を用い、その角度を変えることによりそれぞれのブランチに含まれている異なる波長から、任意の波長の光を選択してレーザーとして発振させる。外部共振器型のCO2レーザーだと、ブリュースター窓を設けて窓間の共振をさけている。

 

 

Gunn発振器

 Gunn発振器はGaAs等の半導体素子に高電場を印加することで、マイクロ波領域の発振が起こるGunn効果を利用した発振器である。図はmillitech社のGunn発振器とその電源ボックスである。周波数ごとに決まった発振器と電源ボックスの組み合わせがある。また、基本的なGunn発振器のカバーする周波数帯は30 GHzから160 GHz程度である。高周波のGunn発振器ほど出力強度は落ちる傾向にある。

 Gunn発振器(左)とその電源ボックス(右)。

 

 

 

BWO

 BWO (Backward Travelling Wave Oscillator)はミリ波領域の光源の一つである。図はBWOの写真と内部構造である。ヒーターを加熱するとカソード(陰極)から電子が放出される。カソード・アノード(陽極)間に高電圧をかけておくことによって放出された電子はアノードに向かって加速する。左右の永久磁石は、電子線を絞る役割がある。加速された電子は、くし型の電極によって蛇行させられ、運動エネルギーの損失が起こる。その損失エネルギーは電磁波として放出され、導波管を通って出てくる。くし型電極の幅が発振可能周波数に対応しており、カソード電圧を変えることにより発振周波数を準可変的に選ぶことができる。カソードにかけることのできる電圧は2000 Vから4000 V程度である。高電圧がかかる結果、真空管全体は高温となるため、冷却水を循環させる装置(チラー)が必要である。

BWOの外観(左)、BWO内部の構造(右)

 

 

Fabry-Perot interferometer : ファブリペロー干渉計

 フランスの物理学者FabryPerot1897年に考案した、2 つの部分的反射面(ミラー)を持つ透明板や、曲率の等しい球面ミラーを向かい合わせに配置した光学装置である。ミラー間の長さをキャビティ長と呼ぶ。一方から入射した光は、両反射面間を複数回反射往復して互いに干渉する。キャビティの外側へ透過した光は、レンズ等の検出器によって集光され、干渉強度を読み取る。反射面の反射率が高い場合、何度も反射往復を繰り返す多重反射を起こすため、Q 値が高く干渉縞が非常に鋭い細線となる。この状態のFabry-Perot干渉計は「フィネス」が高いと言う。したがって、フィネスの高い Fabry-Perot干渉計を分光器として用いれば、非常に高い波長分解能を得ることが可能となる。応用例としては、見かけ上は単色光となっているような単一スペクトル線の微細構造の測定や、スペクトル線の線形・広がりの測定に用いられる。また2015914日にアメリカの重力波観測所LIGOが世界で初めて重力波検出に成功したが、ここでもFabry-Perot干渉計が使われている。約4 km離れた反射面間に起こるレーザー光の干渉強度を測定した結果、水素原子1個の大きさにも満たないような重力波による空間の伸び縮みを、干渉強度のわずかな変化として捉えることができた。